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若葉だい家族記者ストーリー➃chikako

若葉だい家族記者たちが、記者になる前に書いたエッセイ。

若葉台に関すること、子育てに関することなど、

 ママライターたちの等身大の姿をご紹介します。

Special thanks to Tsubota sensei.

歩くことは良いことずくめ

 

――歩くことは程よい運動になる

――走るのは息が切れるけど、

  歩く分には苦しくなることはそうそうない

――公共交通機関を使う代わりに歩くと交通費が浮く

 

歩くことは「良いことずくめ」だ。

「歩き好き」・・・初めは電車賃節約から

 

私は自分の足で移動することが好きだ。

自分の家からバスで一本くらいの距離の駅なら大抵歩いて行ったことがある。

徒歩3時間以内で着く場所であれば、「歩いて行ってもいいか」

「行く時間を作れないか」と、つい考えてしまう。

頭の中は常に歩くスイッチがONなのかもしれない。

 

「歩き好き」になったのはそんなに昔の話ではない。

看護学生の頃だった。

最初は「電車賃を節約しよう、運動にもなるし」くらいの気持ちだった。

 

――バス片道210円20分、を、歩いて無料40分

 

割に合うのか疑問だが、そこは時間のある学生。

私は黙々と歩いた。

あえて時間を作ってのランニングは長続きした試しはない。

しかし、この「絶対に移動が必要な部分をバスから歩きに変える」ということは

私の性に合っていたのだろう。

バス一本分だった徒歩帰宅が、「徒歩→電車→バス」から、

「徒歩→電車→徒歩」となり、最終的には

「全て徒歩」という選択をするまでになった。

 

歩いていると目に入るもの一つ一つに心を傾けながら通過できる。

バスだと一瞬だが、歩いて通ると、

「美味しそうなお店!」

「○○が売りなんだ」

「ここはお客さんがいつもいるなぁ。…よし、今度行ってみよう」

などと思いを巡らせることができる。

そんな時間が心地良く流れていく。

 

 

 

おススメは「音楽と共に歩く」

 

また、歩く際にぜひおススメしたいのは、

「音楽と共に歩く」ということ。

私は、聞きなじみの思い出の曲や、

その時気になる、まだ聞きなじんでいない曲を選曲するのも好きだ。

 

聞きなじんだ曲は、一気にその曲を好きになった時代の自分へ飛ぶことができる。

 

――片思いの男の子を見つめウットリしていた

  中学時代の“LOVELOVELOVE”

――ひたすら受験勉強に尻を叩かれて机に向かった

  高校時代の“キラメキmmmBap”

――好きな人が歌っていたから、地獄の実習中に励みにしていた

  看護学生時代のゆずの“いつか”

 

音楽は歩く私の背中を押し、軽やかなリズムを作ってくれる。

私は不思議と私でなくなり、思考は解放されてあちこちへ飛び回る。

歩くことで得られる開放感をより充実させてくれるのだ。

昔感じた胸のトキメキを今、まさに自分の内にあるかのようによみがえらせる。

 

 

一方、聞きなじみのない新しい曲は、一歩一歩進んでいるうちに

新たに思いを含んで、思い出の曲として育っていってくれる。

そして数年後に「昔を懐かしく思い出す、背中を押してくれる曲」へと

成長していくのだ。

 

 

ひたすら歩くデート

 

「歩くこと」で得られたものもある。

 

独身時代のことだ。

友人が「フルマラソンを走りたい」と言ったことに影響されて。

「よし、私も」と思ったものの、

42.195㎞という距離がピンとこなかった。

そこで、「まず歩いてみよう」と思ったのだ。

目的地を定めて歩きたかった私は地図とにらめっこした結果、

横浜の自宅から当時付き合っている彼が住んでいる埼玉までに狙いを定めた。

「今度歩いて家まで遊びに行くね!」

と、突拍子もない宣言をした私に、彼は驚きつつも、

「自分も同行する」と言ってくれた。

 

まだ暑さも残る9月。

私と彼は40㎞以上の道のりをひたすら歩いた。

朝9時に出発して、目的地の彼の自宅に着いたのは夜の8時を過ぎた頃だった。

長い時間、そして決して楽ではない道のりを共に過ごし、

相手の人となりが分かったような気がした。

会話がなくなることもなかったし、何よりお互い気遣いあって歩き通した。

一緒に過ごすことの安心感を感じることができた。

ただ、ひたすら歩くというだけで、普通のデートだけでは見られない部分まで知ることができたのだ。

 

「彼」は今では人生を一緒に歩む「夫」だ。

 

思い出と共に歩く

 

今は小さい子どもがいて、そんなに自由に歩けない。

大人の足で徒歩5分の道のりを、手をつないで30分かけて歩く。

音楽を聴きながら歩くこともできない。

せいぜいアンパンマンやトトロを口ずさみながら歩くのが関の山。

でも、それすらもこれから数年後時間ができたときに、

歩きながらアニメソングを聴き、懐かしむことがあるのかもしれない。

 

――思い出と共に歩く。

新しい発見や、自分の一面を改めて感じられる素敵な時間だ。

 

私の子どもたちが成長して、いずれ彼氏(または彼女)ができた時、

私は言いたい。

 

「お母さん、選んだ人にとやかく言う気はないけれど。

あんたたちちょっと40㎞くらい散歩してきなさいな!」

 

 

おわりに…

 

一年半前にこのエッセイを書きました。

子ども達は2人姉弟から、3人姉弟となり一人で自由に歩くことは

うありません。

ですが、幼稚園までの道のりを手をつなぎ歩いてみました。

普段は園バスで15分かからないくらい。

徒歩で行って1時間強。

二度と行かないと言われないかドキドキしたけど、

「またあるきたーい♪」とのこと。

親子で会話を楽しみ、景色を楽しむ和やかな時間が嬉しかったみたいです。

私もせかせかせずに子どもと向き合える爽やかな時間を過ごせました。

 

やっぱり、歩くことはいいことずくめ!

 

(chikako)